加齢黄斑変性・緑内障

加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)とは

白内障や緑内障、糖尿病網膜症といった病気と比べると聞き慣れない加齢黄斑変性ですが、ここ20年くらい前までは眼科業界の中でも、日本人には極めて稀で、欧米人に多い病気と考えられていたくらいです。

ところが最近、この病気にかかり、視力が低下するご年輩の方が増えています。福岡県久山町の一般住民を対象に行われた調査では、重症の視力障害をきたすタイプの加齢黄斑変性(滲出性加齢黄斑変性)は50歳以上の住民の0.67%にみられ、日本の人口に換算すると約32万人が罹患していると推定されています。

加齢黄斑変性の症状

加齢黄斑変性は、「見たい物の中心部分がぼやけたり、黒ずんで見える」「物がゆがんで見える」「明暗の度合いがわかりづらい」などの症状が現れます。

出血を繰り返すなど、黄斑部に障害がひどくなると、顕著な視力低下が起こってきます。

中心部のゆがみ

中心部のゆがみ

中心部のゆがみと中心暗点

中心部のゆがみと中心暗点

加齢黄斑変性の治療法

加齢黄斑変性の治療目的は、病変の元となる新生血管を退縮させて、視力を回復させることです。

  • 抗血管新生薬療法(こうけっかんしんせいやくりょうほう)
  • 光線力学的療法(こうせんりきがくてきりょうほう)
  • レーザー光凝固術(ひかりぎょうこじゅつ)
  • 新生血管抜去術(しんせいけっかんばっきょじゅつ)
  • 黄斑移動術(おうはんいどうじゅつ)
  • 経瞳孔温熱療法(けいどうこうおんねつりょうほう)
  • 内服薬

過去には上記の方法が試みられてきましたが、現在最も有効とされる治療は、下記で紹介します抗血管新生薬療法(ルセンティス)です。

ルセンティス療法

ルセンティス療法

抗血管新生薬療法は滲出型加齢黄斑変性の治療に主に用いられます。 ルセンティスによる薬物療法は、ルセンティスという薬剤を直接眼内に注入して、新生血管に作用してこれを退縮させ病変を改善させる治療です。
導入期では月1回ルセンティスを白眼の部分から目の中心の硝子体という場所に向けて注射します。これを3ヵ月間繰り返します。
その後の維持期は、目の診察や検査で症状をみながら、必要に応じて注射します。 検査は必要に応じて月1回、視力検査と眼底検査、患部の光干渉断層撮影等を行い、病変部の変化および視機能の変化を確認します。

アイリーア療法

アイリーア療法

加齢黄斑変性の治療として、ルセンティスに続き、新たな選択肢して「アイリーア」が発売されました。
今までは、毎月1回、3回の投与後、再発時に注射していましたが、アイリーア療法の場合、3回までの注射は同じですが、その後2ヶ月ごとの計画投与を行います。
難治性で再発性の場合や、毎月注射が必要な患者様にとっては、医療費が年間で半分程度になるので、患者様の負担が軽減されることになります。

緑内障

緑内障

日本人における視覚障害の原因疾患の第一位は緑内障です。治療せずに放っておくと失明につながるおそれがあります。40歳以上の日本人の20人に一人が緑内障と推定されています。
また、緑内障は視野(見える範囲)が狭くなってくる病気です。片方の目に見えない部分があっても、両目で見ているともう片方の目でカバーしてしまうため、見えない部分がかなり広がるまできづかないことが多い病気です。
また眼圧が急激に上昇して発症する急性緑内障では、目の痛みや頭痛、吐き気など激しい症状を起こすことがあります。
緑内障を早期に発見し、治療をきちんと受けて、眼圧をしっかり管理できれば、多くの場合、失明に至ることはありません。早期発見と治療を継続することが大切です。

緑内障の原因

眼球の中は房水によって満たされており、眼球は内側から外側に押されて球体を維持しています。この眼球を外側へ押す力を眼圧と呼んでおり、房水の量は産生と排水のバランスが保たれており、適度の眼圧を維持しています。

しかし何らかの原因で房水の流れが妨げられると眼球内の房水の量が増加して眼圧が上昇し、視神経が押しつぶされて損傷し、正常に機能しなくなります。

緑内障の中でも日本人に多いのが正常眼圧緑内障だといわれています。正常眼圧緑内障とは、眼圧が高くないにもかかわらず緑内障になることをいいます。視神経乳頭の強さは人によって異なりますが、視神経が構造的に弱い場合、正常レベルの眼圧でも視神経が傷つけられています。

眼圧は1日の中でも変化するものであり、1年を通じてみていると、冬季に多く、夏季に低くなりやすいことも知られています。

眼圧に影響するものとしては、年齢、性別、近視や遠視の程度、人種、体型、運動、血圧などもあります。緑内障の患者様は特に1日の眼圧の変化が大きいです。

緑内障の治療

緑内障の治療では、まず眼圧を下げることが大切です。眼圧を下げることによって緑内障の症状が進行するのを遅らせる効果があるためです。大半は目薬だけで眼圧をコントロールできる方が多いです。

点眼薬の服用でも効果がない場合、レーザー治療を行うこともあります。レーザー治療には、虹彩に孔をあけて眼内の房水の流れを変えるものと、線維柱帯に照射することで房水の排出を促進するものがあります。痛みはほとんどありません。

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